リクガメの温浴について賛否両論あるみたいだけど、実際のところどうなの?
温浴のメリットとデメリットを知りたい!
リクガメの飼育に関して調べていると必ず辿り着く「温浴するのかしないのか問題」
実際に専門家やショップ店員、獣医さんによって意見はバラバラです。
ぼくも飼育し始めた時は、温浴について「するべきかどうか」「どのくらいの頻度か」について悩んでいました。
そこで今回はさまざまな角度から温浴をするメリットとデメリットについて説明していきます。
【この記事を書いているヘルマンじろーについて】
ヒガシヘルマンリクガメのかめじろうと生活して4年目になりました。
まったくの初心者だったのでリクガメと名前のつく本はほぼ全て目を通し、特にヘルマンリクガメの知識を身に付けてきました。
さまざまな書籍から得た知識に加えて、獣医さん、爬虫類ショップの店員さんから聞いた話をシェアできたらと思います!
この記事ではヘルマンリクガメに温浴をするメリットとデメリット、温浴についての賛否についてお伝えしていきます。
この記事を見てもらうことで「ヘルマンリクガメの温浴についての知識がバッチリ身につき、自分のリクガメに合った温浴するペースの答えを知る」ことができます。
- 温浴をすると「体が綺麗になる」「水分補給ができる」「代謝が上がる」「排泄を促進できる」などのメリットがある
- 温浴のデメリットは「体調を崩す可能性がある」「野生ではしていないので不要」
- 温浴の起源は大量に輸入したリクガメを売れる状態にするためだった
- 健康なリクガメに温浴を積極的にする必要はない
- 体調が優れない場合は獣医さんも治療の一環として温浴を行う
【ヘルマンリクガメのお風呂】毎日必要?温浴のやり方や頻度・温度・時間について
【温浴のメリット】清拭・水分補給・排泄促進
温浴をすることで得られるメリットは大きく4つあります。
- 身体を清潔に保てる
- 水分補給ができる
- 体温が上がり代謝が向上する
- 排泄促進の効果が期待できる
温浴をすることで顔や甲羅、手足などに付着している汚れを落とすことができます。
特に腹甲や総排泄孔、総排泄孔周囲の甲羅は汚れやすい部位ですので綺麗にしてあげましょう。
床材に潜るのが好きだから、気付いたら汚れてるんだぁ♪
床材だけでなく排泄物によって体が汚れている場合もあるので、全身を観察しましょう。
ケージ内の湿度を保ち、水入れを設置していても飼育下のリクガメは慢性的に水分不足になりがちです。
慢性的な水分不足は脱水の原因となり、食欲低下や尿酸結石のリスクが高まります。
ぼく達は口だけじゃなくて鼻からも水を飲むよ♪
体からも水分補給ができるんだ!
温浴をするとリクガメは口や鼻、全身から水分を補給することができます。
当サイトではさまざまな書籍で紹介されている平均値・中間値を参考にして、温浴は33〜38℃で行うことを当サイトでは推奨しています。
リクガメは変温動物なので、33〜38℃のお湯に浸かることでリクガメの体温は上がり、それに伴って代謝も向上します。
先ほどお話しした「代謝が上がる」に関係した話ですが、代謝が上がることによって排泄の促進が期待できます。
温浴中はおしっこや尿酸、ウンチと全ての排泄物を出すことがあります。
尿酸が出ていない場合は脱水になり、ひどい時は尿酸が結石化している可能性があります。
ウンチが出ていない場合は尿酸が詰まっているからウンチを排泄できない、床材などの誤食により排泄困難などの原因が挙げられます。
それらの排泄を促す手段として温浴は効果的です。
【温浴のデメリット】体調を崩すリスクあり!野生ではしない
次に温浴に対するデメリットについてお話ししていきます。
- 温浴後に体調を崩す可能性がある
- 野生のリクガメは温浴をしない
先ほどお話しした通り、温浴をすることによって体温が上昇しますが、温浴後に温度が低い場所に移動すると温度差で体調を崩すことがあります。
急に温度が低い場所に行くと風邪ひいちゃうよ〜
その対策として「タオルやキッチンペーパーで身体を拭く」「温浴する場所・ケージ内の温度を保っておく」といった方法があります。
関連記事はこちら
【ヘルマンリクガメのお風呂】毎日必要?温浴のやり方や頻度・温度・時間について
ヘルマンリクガメは温度27~30℃が最適!保温器具を使って快適な飼育環境を
これをいわれると返す言葉が出てきません(笑)
野生環境でしていないことを、飼育下だからといってする必要があるのか疑問視されています。
ぼく達は野生ではあまり水を飲まないよ!
ましてやお風呂に入る機会なんてないからねぇ
爬虫類の専門家の中では「ペットとして飼育している以上、何か世話をしたいと考える飼育者の押し付けで温浴をしているだけ」という人もいるようです。
温浴に対しては賛否両論ある
温浴のメリットとデメリットについてお話ししてきたところで、最後に温浴についての賛否についてお伝えします。
- 温浴の始まりは大量に輸入したリクガメを売れる状態にするため
- 温浴で排泄されるウンチは消化不良?
- 飼育下では十分な水分補給ができない
- 脱水や消化不全などの体調不良時は獣医さんも温浴をする
- 温浴の始まりは大量に入荷されたリクガメを綺麗にするため
そもそも温浴の起源は「海外から輸入したリクガメの身体を清潔にすると同時に、強引に水分補給をさせて販売できる個体にするため」だと言われています。
その昔、1m四方の木箱にリクガメが200匹入って飛行機で何時間もかけて送られてきていた。(中略)
引用:ビバリウムガイド No.88 リクガメの夜明け|p.37~38|冨永 明|エムジェーピー|2022年2月3日
送られてきた個体は、ほぼみな脱水状態である。特に初期に捕獲されたものは、もはやスカスカである。(中略)
そこで考え出されたのが温浴である。大きな衣装ケースなどに、それこそじゃがいもを洗うようにリクガメを入れる。こうして大量のカメに水を飲ませ、何とか立ち上げていたのだ。(中略)
まぁ、何らかの伝染病をいっぴきでも持っていたらアウトの危険な方法ではあるが、ここからカメの温浴神話が始まっている。
この話に基づいて考えると、日常的に行なっていた飼育方法ではなく応急措置的に行なっていた手法であることが分かります。
温浴をすることでおしっこや尿酸、ウンチの排泄を促進する効果が期待できます。
この中で温浴中のウンチの排泄について否定的な意見が多いのは事実です。
少なくとも筆者はちゃんと飼えている個体に対しての温浴は否定派である。明らかに未消化の糞をしてしまうのが最大の原因だ。
引用:ビバリウムガイド No.88 リクガメの夜明け|p.38|冨永 明|エムジェーピー|2022年2月3日
さらに爬虫類専門のペットショップの店員さんはこんな話をしてくれました。
温浴で出るウンチは消化不良の状態で排泄されることが多いです。
カメを持ち上げた時、おしっこやウンチをした経験はないですか?
それと一緒で、温浴をすることでビックリして排泄をしているとも言われます。
このように、健康なリクガメに対して温浴を積極的に行うことを好まない専門家も多くいます。
野生と飼育下のリクガメでは、生活する環境が全く違います。
- 温度や湿度などの環境設定
- 活動時間や活動量
- 移動距離
- 食事内容
中でも温度や湿度といった環境は飼育者がどれだけ頑張っても野生と同じにはできません。
人間が生活する室内は他の動物、特にリクガメからすると「圧倒的に乾燥した環境」です。
慢性的に脱水になりがちなリクガメの水分補給のために、温浴は有効な手段といえます。
以前、かめじろうも軽度の脱水状態になることでザラザラした尿酸を排出することがありました。
ザラザラした尿酸の写真を見せてもらいましたが、間違いなく脱水状態でした。
もしあのまま尿酸を排出できなかったら、尿酸結石になっていた可能性が高かったです。
あの時はおしっこもウンチも何日か出てなかったもんね。
当院でも尿酸結石や、予備軍のリクガメには水分補給を目的として積極的に温浴をします。
その中には毎日温浴をする場合もあります。
【ヘルマンリクガメ】謎の白いものが出た!正体は「尿酸」出ないと病気かも?!
温浴は「健康なら積極的に行わなくてOK」「体調不良の場合は1度」
温浴のメリット・デメリット、さまざまな意見が分かったところで最後にまとめます。
- 温浴のメリット
「体が綺麗になる」「水分補給ができる」「代謝が上がる」「排泄を促進できる」 - 温浴のデメリット
「体調を崩す可能性がある」「野生ではしていないので不要」 - 温浴の起源は大量に輸入したリクガメを売れる状態にするためだった
- 健康なリクガメに温浴を積極的にする必要はない
- 体調が優れない場合は獣医さんも治療の一環として温浴を行う
これらを踏まえて、毎日の健康チェックを怠らずにその子の健康状態に合わせて温浴の頻度を調整するのがおすすめです!